1.
読み掛けでおいてあった一冊に久しぶりに手を付けた。カカシはさして引き込まれぬうちに巻末まで繰り終え、寝る前に風呂に入らねばならん基本的生活習慣を面倒臭いと思った。
不図、一人である自分に気付く。それで寝室の戸口へ立ち上がった。電気の点されていないそこで、尚一層黒い塊が静かに息衝いて居た。時刻は真夜中である。
「イルカ先生。」
「…………。」
窓の下で三角形に折り曲げた脚を抱え黙然と縮こまっている、この大きな黒の塊は、半年前の冬にカカシの家に居付いた。里で忍者学校の教師をしている。名を、イルカと云う。歳はカカシより一つ若い。
俯した顔は、両腕の囲いが隠す。一つに引っ詰めた、見慣れた黒髪が仕舞い忘れた尻尾みたいに天辺から生えていた。内側の世界に引き籠っているときの彼はどうも陰気臭い。
平生は、カカシの足元をクルクル回る子犬の活発さで以て、近くを機嫌良く動き回っているのに。或は主人の帰りを聞き付け奥の間から走りくる留守番犬の勢いで、突進してきてカカシを押し倒す程の精力に溢れているのに。
色んな犬にもなる彼は、気侭な猫にもなった。そんなときは、カカシの都合などお構いなしに体力も時間も遠慮なく削る。そうして気の済んだところでふいと離れて終う。此方が触ろうとすれば毛を逆立てて威嚇する如く反抗する。伸ばされた手を無情に払い除けるや本気で睨んで其の身を撫でさせない。それをカカシが不公平がっても知らん顔でいる。
また、何も無い筈の何処か一点を凝視している姿に遭遇することもある。何があるのかと聞くと必ず何も無いと答えるから理由は未だに不明である。若しかしたら木ノ葉の忍というのは仮の姿で、本当は異星人なのかもしれない。イルカはそうして銀河の祖国と交信しているという行き過ぎの空説は、カカシから見たイルカに存外しっくりきた。
それから、入手した食い物を此れ見よがしに一々カカシの前に並べて見せてくる姿にも、狩った雀を見せびらかす猫が重なった。剥く前の果物や盛り付ける前の惣菜を一旦見せつけてくるその意図も掴めなければ、カカシには如何してしたり顔になるのかも全く理解出来ない。はたまた首の動きやちょっとした仕草が、森に棲息する齧歯類と同様なときもあった。
それでいて、凛としていた。更には不敵であった。時々生意気だが従順さも併せ持っており、浅い付き合いの人間には愛嬌を振り撒き、好かれるのが上手い。その割に屡単独行動を取る。野性味があり、知的で、涙脆い。動物的な感じがして、半面では人間味に溢れている。畢竟カカシにとってイルカは得体の知れない未知なる生命体であり続けている。
「俺は今から夜食を買いに行きますよ。」
「……。」
どうやら又、いじけ虫が腹から涌いているらしい。いじけ虫とは、カカシが密かに名付けた眼前の状態を示す言葉である。
「一緒に来るかい。」
そう誘いを掛けると、体を乗っ取った奴に操られている重たさでイルカは窓辺からのっそりと腰を上げ、仕度を始めることで問いに答えた。カカシが斯うして働きかけるのは珍しかった。焼き餅を焼いていたのかもしれない。
足元を見失わない間隔で電柱が灯る。道を守っている以外の明かりは消えている。里は眠りに就いていた。
2.
実存する虫の声が草間から、夏の大気に趣を与えている。
一歩下がってカカシの後ろを付いて来たイルカは、静かに力無い声を出した。
「午前零時に、やっている売店なんかありませんよ。」
夜更かししている草叢の虫の方がまだ元気そうである。
「じゃあ、これは開いている店を探す旅です。」
イルカには分かっていた。カカシは腹など空かせておらぬ。その目的は唯一つ、自分を外へ連れて出ることにあった。
カカシは唯、沈鬱な邪魔者をイルカの体外へ追い出したかった。イルカが己の傍にずっと居るように。彼が、此の世にずっと生きているように。どうせ有る命なら、カカシはイルカの生きる世界に在れと思っている。その理想に、流れ込んでくる沈鬱の瓦斯は不要である。
「カカシさん。」
「ウン。」
「星が沢山出ていますよ。」
頭上ではなく斜め後ろへ目を遣ると、右肩の奥でイルカは顎を上げて空を仰いでいた。ハイネックから伸びた喉仏のあたりが生生しい。
「そうだねえ。」
頑丈そうな造りでありながら、喩えば指の先でつんと押した力で崩壊しそうな危うさを漂わせる、翳りの差したイルカは壮絶に色っぽい。
「奇麗ですね。」
「うん、奇麗。」
カカシは、彼を引き倒して馬乗りになり、上から存分に観賞したい衝動を隠して頷いた。
二人が暮らすカカシの家を出発して十分も行かない所に、野晒しで置かれた軒先の木製ベンチが目印の、大きな玩具屋がある。正面はちょっとした広場である。広場からは細い小路が輻射状に伸びている。波紋を描く様に主たる大路が敷かれた里は全体としての統一感を有しつつ、中枢部から段段に継ぎ足されていった各部分については丁度この場所の様に、区画単位の纏まり感を持っていた。
比較的新しいブリキの看板の下でイルカは止まった。止んだ足音に気付いたカカシは、
「休憩?」と言いながらベンチに引き返してくる。半分泣いて、笑うイルカが頷いた。直ぐ近所で休憩もない。そして、カカシ独特の優しさに泣けた。匙を投げると云う選択をしない相変わらずの守り方が、不器用な接し方が、温度の無い冷厳たる雰囲気が途方もなく好きであった。
カカシは、悔悟の嗜癖がある人の目を、他の何物にでもなく自分に向けさせたかった。昨日に捉われ、物の弾みで動かなくなる人の躯を、本人の意思なんぞ切捨ててでも刻の先へ、引き摺ってでも連れて進んでやると醒めた心に誓っていた。
此の頃では、自分らの関係は、有無を言わさず酩酊状態のイルカを担いで帰った数年前のあの晩に象徴されているように思われてならない。
三代目から根無し草と比喩られたことさえあるイルカは、孤高な人へ向かう熱情を振り切れなかった。この男からだけは逃げ切ることが出来なかった自分の、履物から出ている爪先を見詰めた。
彼は明日に背中を向けて、そろりそろりと後進する形で前進してきた。見当違いの方へ向かっているかと偶に不安になる足元は、絶えず覚束無い。その目に映るのは、全て在りし日で、其所にはもう戻れない場所で、今更戻りたくもないのに気になるから見続けている不変の過去たちである。想起に付随する喜怒哀楽は依然として激しく綯い交ぜになっており、色褪せない。代わりに、其等の景色にはあった以上のことは絶対に起こらないという確かさもあった。長いことそんな歩き方をしていたら知らぬうち、彼は体の向きを変えるのが怖くなっていた。既知であるという一種の安定感を棄てて真っ新な道を見る勇気が出ない。だから彼は、何年経っても後ろ向きの儘で前進していた。
そのイルカの躯を引き摺って気にせず、前方を見据えてずんずん歩くカカシがいる。
カカシの強さに触れると、イルカの眸には涙が溢れる。
(此処迄来るのに、貴方の腕はどれだけ疲れたろう。)
――だけど吾は一人よりも寂しくないし、一人よりも楽ちんだ。偶に貴方の歩調を盗み見て、其に合わせれば転ばないで済む。貴方の話の続きを知りたいと思えば、意識の端を蝕み続けている、あの場所へ走って行きたくなる想念も掻き消せる。それでも、腕を痺れさせた貴方に、何時か、飽きられた吾は道の途中に置いていかれるのであろうか。その前に体を翻して、未来を見て歩けるようになっていないといけないのであろうか。
ベンチに並んで腰を下ろした。
カカシは今にもずり落ちそうな格好で浅く座った。
天の川を眺めるイルカはなんとなく、記憶に残る夜空になると思った。
彼は、その背に重傷を負ってから殊に酷さを増した、発作的に起こる醜態の一部始終を既に相手に晒して仕舞っていた。一つ前の夏のことである。如何したの、ではなく、何故泣くの、と聞いてきた科白がカカシらしかった。其の親身な声に止めを刺されて、イルカは誰にも秘密の内面を吐露した。カカシは話の最中一度も言葉を差挟まなかった。背を向け蹲るイルカが引いた、目に見えない境界線から先へは一歩も踏み込まなかった。そうして静かに、夏の日差しの下で、暇を埋める本も開かず、ただスコールの様な愚痴が過ぎ去るのを待った。
今また俯いて無気力そうに喋るイルカの話は、其の時の続きのような、其の時と同じような話であった。
3.
ナルトが二歳になるまで、イルカは御守役の一人を務めた。ヒトの赤子は自力では決して生き残れない。勃発した里の壊滅危機に瀕し、生後間もない子の父がその最悪の事態を回避した。禍因を自分の子の腹に封じて、若き四代目火影は還らぬ人となった。総員が郷の再建に充てられた。そして、組まれた交替制と作業分担のなかでイルカとほか数名の者が、遺されたナルトを世話した。それが当時の下忍の少年に割り当てられた役目であった。保育の継続任務が解かれて数年後、忍者学校に入ってきた生徒と今度は担任という形で再び、その子どもを支える日々は始まった。
支えてやれていると信じて疑わなかった。ところが、ナルトにとってはイルカも傍観者に過ぎなかったという相互の認識の食い違いが明確になった時、彼は自分がしてきたことの間違いを悟った。それからである、抜け出せぬ泥沼の如き苦痛が一層耐え難いものとなったのは。
言わなくても伝わるものと思っていた。態度で示せていると思っていた。だが、それは間違っていた。此の世には言葉にしなければならぬもののあることをイルカは知った。
「……彼奴が自分を曲げないのは、曲げられないからだ。」
生徒時代のナルトには、柔軟性に欠けるという教育評価を下した。
「曲がる時は、ボッキリ折れる時なんだ。」
折れても誰も添え木になって呉れない。誰も包帯を巻いて呉れない。それは、余りに怖い。
「曲がらなくて当たり前だよ。」
その上、この子どもは施された覚えの殆ど無い為に、人の優しさというものを見抜けなかった。
「なのに彼奴は優しくされる事にも慣れていないから……その真贋の見分け方も解りゃしねえんだ!」
一体それまで何をしていたのかとイルカは自己を責めた。何も教えられていなかったという悔恨は容易に薄まらない。
「俺は結極、其の時其の時で掛けて遣るべき言葉を、分かっていながら伝えずにいたんです。」
ナルトは、一人で立たなければいけないから。
(自分も、色んな事を一人でやったから。)
齢十三で独りぼっちになったイルカは、混乱と麻痺に支配された身で一つずつ足場を固めていった。自分で石を探して。運んで。一つ。一つ。自分で敷き詰めていった。それでここ迄曲がり形にもでかくなったのであるから、ナルトも自分なりに石を探してその手で拾って、運んで並べていけば善いという考えでいた。真っ直ぐに伸びずとも芯が腐らなければ駄目にはならないと信じ、甘やかして欲がる物を簡単に出してやるのは違うと心に言い聞かせた。
(自分が、簡単には手に入れられなかったから。)
追実験に支持されている最新の理論よりも、経験を優先させてしまった。
その結果はどうだ、イルカは無力感と後悔に苛まれている。ナルトにしてみれば疾っくに片が付いているか、全く別な角度から見えている事件であるかもしれない。何れにせよイルカは頑なに、其迄の己の浅慮を許さない。ナルトの内に封印されたイルカの憎悪の対象と、ナルト自身は別だという至極当たり前の事を、自力で辿り着けと計り一度も口に出しては伝えなかった己が情けなかった。
(相も変わらず、笑止千万だなあ。)
冬になるとカカシは左の顔面の奥が疼く。特に寒さが骨身に堪える日などは、傷跡を押さえてのたうち回りたくなる激痛に見舞われる。
「俺に、アンタは如何して欲しいと思う訳。」
「別に。」
表情を一切変えずに即答してから、
「何も」と下目の儘でイルカは潔く言い捨てた。彼は、見限ることをしない人に只、懺悔によって自分の現在地点を聞かせたのみで他に期待することなど何も無かった。
「そう。」
「ええ。」
「それなら良い。」
「ふふ。良いですか。」
「話を聞くのは幾らでも出来る。」
けれど、と繋いでカカシは言い切った。「俺は何もして遣れないよ。」
その声に、イルカの永劫は捕まった。
「アンタ自身の問題なんだから、他人に解決を任せても無駄さ。アンタが自力で片を付けるしかない。」
イルカはそう宣告するカカシの声に酔い痴れた。
「でなけりゃ、一生その儘な丈だあよ。」
(最高の答えじゃないか。)
「俺も、その通りだと思う。」
此の時である。
イルカが、自分の世界を放り投げたのは。
遊びではおれなくなって告白し、恐る恐る私の空間へ招き入れ、捨て身の覚悟で身を託した。が、言ってしまえばそこ迄であった。ずっと、いつでも別れられると裏腹に思っていた。
ピカピカの合鍵を嬉しがれなかった。そのくせ、無数の一日を共に重ねて背馳の紋様を限りなく小さくしてゆく、その時間が寿命であり、その相手がカカシであったならと夢想していた。
大人になっても付いて回る矛盾を惹起していた、そんな蒼くて貧弱な器を、到頭つくり変える時がきた。満天の星空を見上げながら彼は、心を宙へ投げた。
一等星の三角に吸い込まれて、却ってきた心にはカカシのしるしが刻まれていた。此れからは其を自身の左胸に据えてイルカは生きてゆく。無論、旧の権利者である己が煤けさせた部分の掃除は、現使用者となったイルカ自身に引き継がれる。
カカシは世界が冷徹であることを知り抜いていた。強靭な精神力が出来上がって了う迄には其に見合うだけの辛酸を嘗めた。望んで成った明鏡止水ではない。現実に適応し多大な代償と引き換えに生き残り続けた為に到達を余儀無くされた境地であった。
その事は、カカシと居れば分かる。だから、イルカも勇気を出して、脱却と再生のために沼から這い出る決意をした。今は強いカカシが倒れても、其のときは自分が彼を引っ張り上げられるように。
(今。吾の傍に在る。彼の此の躯が。どれだけ悪臭に捲かれても。どれだけ汚物に塗れても。吾は此の人を抱きかかえる。之を恋心と、呼ぶのかどうかは知らない。)
そんな様にしてイルカは、己の核の部分に一箇所――「彼を独りにはしない」と――、情緒其の物を蹂躙されても価値観を書き換えられても、安心感や信頼感を壊されても、命尽きても消えぬ痕を彫り込んでおいた。
大切な人が言い難い内側を曝け出して呉れたから、お返しの意味でカカシも滅多に口外しない心裡を一つ教えた。
「俺は何も恨みたくない。」
イルカは左を向かずに、一寸動かした眼球も夜空へ戻して片方の口角のみにク、と力を入れた。
「感じの悪い笑い方をするね。」
今度は、ふ、と満足そうに笑い首を倒して表情を伏せた。こんなときに決して謝らない彼を、中々此方を向かない彼を、カカシはひどく扇情的に想った。口付けたくなったが、ずれかけた意識を元に戻す。
4.
「行きましょう。」
立ち上がると、イルカはカカシの腕を引いてベンチから引き剥がした。急に皆の知る彼に戻ったと思ったら、強引に移動を再開する。虫の音は何時の間にか途絶えていて、その所為か家を出た時より幾分蒸し暑い。
「全く、我が儘なんだから。」
二人の頭上では無数の星星も沈黙を守って大人しく瞬いている。この夜のしじまに響くのは、薫る睦言ではなく低級な抗弁の応酬であった。
「違いますよ。こんな夜中に、腹に物を入れたいなんて、カカシさんが我が儘なんでしょう。」
「何だとこの野郎。」
「開いている店なんてありゃしませんよ。賭けても良い。」
人の気も知らないでと溜め息を吐きそうになったカカシの耳は、添えられた面白い一言を聞き逃さなかった。
「ふん、良いね。乗った」と俄然やる気を出し、具体的な約束を畳み掛ける。
「やっている小店が見付かった暁には、御前を一日俺の自由にするからな。」
「やなこった。」
「おや、自信がないんですか。勝てる自信がないんですね?」
「有りますよ、俺を何処の出身だと思っているんです、此の里ですよ。」
「ま、然うなんですがね。」
イルカもカカシも木ノ葉の生まれである。
「それにアンタよりも里で生活している時間は長いんだ。可いでしょう、此方が勝っても、カカシさんを一日俺の自由に出来ることにします。」
合意を得たカカシはここで心底楽しげに口の端を上げて唇を弓形にし、確定していた勝利をゆっくりと告げた。
「元暗部の広げる地図と、中忍の知っている地図とは果たして一緒かなあ。」
「……、」
「はははは!」
「へ。」
「さあさあ、イルカ先生、行きましょう! こっちですよ。」
迂闊な恋人の手を取り、カカシはそのうちスキップでもし出すのではないかという軽やかな足取りを披露する。
「嗚呼!」「ずるい!」と声を上げるその人は、剛力でしょっぴかれて行く。
「そんな、そうやって自分ばっかり知っている備考を後から出してくるなんて、ずるいじゃねえか、この腹黒!」
「五月蠅い、黙れ。」
「ヤ。イヤ。俺は帰る!」
「はいはい。着いたらなんでも好きな物を買ってあ、げ、る、からねえ。」
「行きたくない、進みたくない、もう一歩もそっちへは行くものか!」
「コラ、大人しく来い! もう直ぐ其所なんだから。」
「嘘だろォ!」
「嘘だよ、はは、本当はもうちょっと先。」
「そこじゃねえ! 俺が言ってるのは距離の問題じゃねえんだよ。遣り口が汚ぇっつってんだ。」
「正々堂々は、忍から一番遠い言葉ですよ。」
「そうだけども、貴方、」
「どうどう、教師面なんか出してきて何を言い出す気ですか、イルカ先生。だったら俺も暗部の顔になりましょうか?」
「脅しに屈する俺だと思うてか。」
「そういうのを捩じ伏せるのが、堪らないんだよねえ。」
「腐れ元暗部が!」
「口が悪いなあ。マア可いです。今のうちに好きなだけどうぞ。」
「今のうちにとか言うな!」
カカシは、イルカを見て笑った。
幾ら時間を奪っても、何遍身体を奪っても、此の人は自分のものには一生ならないという気がする。そして、御し難い此の人に飽きる日だって一生こないという確信をより深めた。密かに。
(俺は最期に、貴方が惚れた彼はどんな人でしたと天から聞かれてこう答えるのだ――『うみのイルカという』人だった。)
万に一つの本日休業札が掛かっている可能性を考え乍らイルカはこっそり、カカシに一日自由に扱われて挙句の果てに死んでも仕方が無いという覚悟を決めた。何をされても最終的には屹度許して仕舞う。
(でも、場合によっちゃあ今世紀中は無理かも。)
生きてきた世界が砕けて散った。イルカは其が、今晩の此の星たちであると思った。
終. |